医療現場で抱えやすいストレスの実態

ここでは、看護師が抱えやすいストレスの実態について解説したい。看護師のストレスの原因としてまず挙げられるのが、重労働である。医療現場は立ち仕事が多く、常に緊張感を強いられるため、肉体的な疲労が蓄積しやすい傾向にある。患者の搬送や介助、医療機器の操作など、体力を要する業務も多く、身体への負担は相当なものである。重労働は、肉体的な疲労だけでなく、精神的なストレスにも繋がる。実際、肉体的な疲労が限界に達すると、集中力の低下や判断力の鈍化を招き、医療ミスを誘発しやすくなるものだ。

また、人間関係も、看護師のストレスの大きな原因の一つである。看護師は、医師や他の看護師、患者やその家族など、あらゆる人と関わりながら仕事をしている。その中でも、橋渡し役を担っているため、高いコミュニケーション能力が求められる。複雑な人間関係の中心に置かれれば、おのずと円滑なコミュニケーションを取ることは難しくなるだろう。実際のところ、人間関係のやりとりでストレスを抱えてしまう看護師は少なくない。それに加え、患者やその家族からの無理な要求や、理不尽なクレームに対応しなければならないこともある。

さらに看護師は、患者の生死に直面する機会もあり、精神的な負担が大きい。患者の死に寄り添う中で、悲しみや無力感を感じ、精神的に疲弊してしまう人もいる。特に、長期にわたりケアに携わってきた患者の場合は、まるで家族を失ったかのような深い悲しみに襲われることもあるだろう。看護師も一人の人間であるため、こうしたストレスは放置せず、きちんとケアしなければならない。どうか苦痛を一人で抱えるのはやめてほしい。